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瓦屋根は地震に弱いのか?

更新日:2021年8月26日

前回の記事の瓦屋根のメリット

⑦重量の所をもう少し分かりやすく説明します。


阪神大震災以後、瓦屋根の家の倒壊などの報道から


「瓦屋根=地震に弱い」 


というイメージを持っている方も多く

そのイメージが払拭されずに悩んでいる瓦屋さんも多いと聞きます。


実際倒壊した家屋は古い家も多く

土の上に瓦を載せている施工方法が一般的でしたが


現在では瓦一枚一枚を釘留めするように

瓦の施工方法のガイドラインも整備され

耐震性はかなり向上しています。



そこで、サンプル図面を基に

瓦屋根(重い屋根)の場合と板金屋根(軽い屋根)の場合の比較をしてみました。


通常耐震の計算を行うときは


地震力  (床面積に地震力係数 重い屋根:A 軽い屋根:Bを掛けた値)A>B 


風圧力  (見附面積 正面と側面 に係数50を掛けた値)


どちらか値の大きい方(安全側)を採用し

その値だけ壁を補強しなさいと、法律で決めれれています。 


地震力で考えた場合 重い屋根の方が係数が大きくなるので

その分たくさんの耐力壁が必要になることになります






写真は左が軽い屋根、右が重い屋根となっていて

耐震性はほぼ同じです。(風圧力の考慮なし基準法ギリギリ)

右側の○で囲った部分が

軽い屋根の時より補強したり増えた部分です。

たったこれだけの差なのです

費用にしてもこれくらいなら2万も変わらない位です。


しかも、これは風圧力を考慮しない計算になっています。

風圧力を考慮すると、地震力の値より大きくなる場合も多々あります。

屋根が重くても軽くても、風で受ける影響の方が大きいという事です。

これは建物の床面積と形状により様々ですが・・・


最近では耐震等級なども気にしながら

基準法の1.3倍~1.5倍を目指して設計することがほとんどですから

重い屋根、軽い屋根の違いで

家が弱くなることは考えにくいことが分かると思います。




リフォームなどで耐震補強を考えた時

耐力壁を増やすと家のあちこちを部分的に改修する必要があり

修繕費など考えると費用も膨らんでしまう

年数も経っている瓦屋根を下ろして

軽い屋根にすると、工事個所は屋根だけに絞られ

簡単に評点を上げることが出来るからです。


軽い屋根を得意とする業者は

「瓦から軽い屋根に! 耐震性が上がります!」

のうたい文句で営業を掛けるので

「瓦=地震に弱い」が根付いているような気がします


もちろん嘘ではなく、

耐震の観点からみるとメリットは大きいので採用することも多いのです。


ただ同時にメンテナンスコストなどを比較し

どちらが自分たちにとって良いのかを

総合的に判断する必要があると思います。



まとめますと


 * リフォーム時の軽い屋根への葺き換えは耐震性向上になる


 * 新築時に 瓦は地震に弱いから、瓦葺きはあきらめる は間違いです。

 

 * 重い屋根と軽い屋根のメリットとデメリットを知り

   どちらが自分たちの住まいに合っているのか 

   コストやデザインなど総合的に判断する必要があります。


 * 瓦は地震に弱いわけではない


という事かなと私は考えています。


皆さまの住まいづくりの参考になれば嬉しいです。




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