以前屋根材についてお話しましたが
瓦屋根についてお話したいと思います。
弊社ではまず一番に瓦をお薦めします
それはなぜか?
住まい手にとって一番メリットの多い屋根材だからです。
そのメリットとはどんなものがあるのでしょうか
① 断熱性 夏涼しく冬暖かい
屋根面は常に直射日光にさらされ夏場は高温になります。
金属屋根やスレートの屋根材と比べ、
粘土瓦は熱を通しにくく、葺き土も熱を吸収してくれますし
桟葺きの場合、空気層ができるので熱がこもりにくい
小屋裏温度が7~8℃低下するそうです。
蓄熱性もあるので冬場は昼の温かさを、ため込んでくれるので
温度低下を緩やかにしてくれます
② 結露防止 下地材を守る
屋根材は高温になったり、低温になったりすることで
結露が発生しやすくなります。
金属屋根などでは隙間がなく湿気が籠りやすいので
屋根材の室内側で結露して、
下地材を腐食させてしまうこともありますが
瓦屋根の場合は隙間があるので、
結露しても湿気が抜けてくれることで
下地材を腐食から守ります。
③ 遮音性 雨音が静か
金属屋根やスレート屋根を葺いていると
最近のゲリラ豪雨などでは、TVの音が聞こえなくなるくらい
激しい雨音に見舞われることもしばしばあるそうです。
粘土瓦は音を伝えにくい性質があり
雨が降っているのにも気づかないくらい違いが歴然としています。
④ 経済的 懐に優しい
弊社がお薦めする理由の中で一番大きいウエイトはここにあります。
瓦は初期費用こそ高いものの、耐久性・メンテナンスを考慮した
ライフサイクルコストで考えると圧倒的なコストパフォーマンスを誇るからです。
(生涯コストとも呼ばれ 生産~使用~廃棄までのトータルコストで考えたもの)
瓦は一度施工すると 耐用年数が40年~100年とも言われ
他の屋根材が10~15年でメンテナンスとなるところ
ほぼメンテナンスフリーです。
屋根材の多くは塗装品が主流ですが
瓦の場合、粘土の色であったり、釉薬を焼き付けたりしているので
色落ちしないというのも大きな特徴です
日本の風土に合った屋根材だと言えますね。
⑤ 瓦の種類が豊富
瓦の種類の多さも外観のデザインを決めるうえで大きなポイントになります
瓦の素材にも いぶし瓦 素焼き瓦 陶器瓦 窯変瓦 があり
形も様々 和形 本葺 簡略 平板 S型
好みの素材や形を組み合わせオリジナル性の高い屋根を作ることもできます。
⑥ リサイクル 自然に還る
瓦も自然素材、昔からある素材なので、
いろいろな取り組みがされています。
砕石やガーデニングなどに再利用しても
他の工業製品に比べると圧倒的に環境負荷が低いです。
⑦ 重量 地震に弱いは言葉のマジック
昔から、台風の通り道でもある日本は
強風に飛ばされない、大地にしっかりと根差した家が建てられてきました
「根を張る家屋」 で屋根と呼ばれているわけですが
しっかりとした建物を、しっかりとした重さの瓦で重しを掛け
建物を安定させるという考え方が根本にあります。
大震災から瓦屋根は重くて地震に弱いというイメージが誰しもありますが
実は重い屋根と軽い屋根を比べた時、軽い方が有利というだけで
弱いわけではないのです、
ちょっと詳しく説明すると
軽い屋根 の必要な耐震壁を100%としたとき
重い屋根 の場合、耐震壁を114%に増やすと同等の耐震性になる
重い屋根 耐力壁114% = 軽い屋根 耐力壁100%
耐力壁を14%増やすというのがどのくらいかと言いますと
30坪くらいの二階建てで考えると
耐力壁1mの壁を2~3か所増やすだけで、計算上は事足りるわけです
耐震性は地震力と風圧力のどちらも検討する必要があり
建物によっては地震力より風圧力の方が
耐震性確保に必要な壁量が増えることも多々あるので
地震に対してはしっかりとした建物で対応し
風圧力に対しては瓦屋根でしっかり重しを掛けておくことで
災害に対して最も強い建物となると考えています。
こんなにたくさんの利点がある瓦を
勧めない理由がわからないといった感じです
たしかに、他の屋根材にはその屋根材にしか出せないメリットもあります。
ですが、
瓦は、住まい手に優しく寄り添ってくれる素材なんじゃないかなと
僕は思っています。
長文にお付き合いくださりありがとうございます。
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